エンジニアが個人事業主として仕事を始める際に、必要な手続きの一つが開業届の提出だ。正式には「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」といい、新たに事業を開始するときだけでなく、事業用の事務所や事業所の新設、増設、移転、廃止、または事業自体を廃止した際に必要となる。
事業開始などの事実があった日から、1月以内に税務署に持参するか、送付により提出しなければならない。提出する際の手数料は不要だが、郵送の場合は送料が必要だ。提出書類にマイナンバーを記載するため、税務署へ持参の場合は本人確認書類を提示、郵送の場合は写しを添付する。
また、開業届には職業を記入する欄があるため、「システムエンジニア」「ネットワークエンジニア」など、事業内容がわかりやすいように記載をしよう。屋号を記入し登録すれば、銀行口座の作成や領収書の受け取りが屋号名義で可能だ。
そして、開業届の提出には2つのメリットが存在する。1つ目が青色申告を選択することで、確定申告の際に最大65万円の青色申告特別控除が受けられるようになるのだ。複式簿記による記帳の手間は必要だが、白色申告でも帳簿の記入と保存が義務付けられているため、可能なら青色申告を選んで節税する方が良いだろう。
2つ目のメリットは、屋号名義の事業用銀行口座が開設できることだ。屋号入りの銀行口座があれば、プライベートで使用するお金と、事業用の収入や経費を分けて管理できるため、経理作業が効率的に行える。さらに、個人口座よりも取引先から信用されやすくなる点もメリットと言えるだろう。